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 そしてまたも振られる。しかも今度は手厳しく。 ――二度と、顔を見せないでくれ。君にだけは会いたくない。    完全に拒否された。  このとき父は、生涯この人を決して忘れないと確信した。手に入れられないとも。  はっきりいって自棄を起こした。もう誰と付き合っても同じで、追いかけることも叶わない。正直疲れた。だから、当時昴さんの看護を担当していた母に声を掛けられ、慰められると居心地が良かった。求められる幸せは、心の隙間を優しく埋めてくれる。  両親は一年かけて関係を温めた。曖昧なまま交際が始まったが、母の妊娠が発覚して結婚へと進む。家族の為に生きて行こうと父は決意する。  その努力は一年、二年と続く。三年経った頃には、目に留まる葬儀場の名を確認することが癖になっていた。というのも、昴さんの病状が悪化していることは、母の口から知らされていたから。  昴さんは生まれつき心臓に疾患を抱えていた。大人になるまで生きられるかどうか、と疑われていたほどで、本人は十分に命を全うしたと思っていたらしい。  父の固い意思が崩壊したのは、高校の同窓会。     
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