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意味を計りかねた灯はようやく俺の胸に手を突いて、のろのろと顔を持ち上げる。灯の背中を支えながら、「俺の身体をよく見て」と笑いを堪えて言った。
おろおろする灯の手をとって、胸を触らせ、肩から腕、脇腹へと誘導した。そうしながらひたと灯の表情を観察する。動揺しているのは一目瞭然だ。泣き腫らした目は実に痛々しいが、まだどこか、半分夢を見ているようなとろんとした顔。
「あっ……、うそ。な、何で?」
「何が?」
わざと惚けてみせると、灯は背を仰け反らせて俺から離れようとした。その拍子にバスタオルがはだけ、肩から二の腕、それから薄っぺらな胸元が露わになった。動揺のあまり膝を立たせて俺から逃げようともする。その後を追うように、灯の腰を抱きながらゆっくり布団の上へ導いた。
予定通りの体勢に持っていけたのは良かったが、灯は混乱を来したまま。
「なんで、もう勃ってんの? さっき、俺の股でいったばっかじゃん!」
「なんでってそりゃ、灯のせいだろ?」
「え? お、俺の、せい?」
「灯はそこにいるだけで可愛いから」
惚気たことを言いながら腰のタオルを取り払った。直後、灯が「うわわっ」と悲鳴を上げ、手で顔を覆う。指の隙間からチラチラ俺の下半身を盗み見る。
「そそ、そんなのっ、絶対はいんないっ」
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