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目元を擦るとそこもヒリヒリして、何でだっけ? と記憶を整理しようとした矢先、「うぅっ」と俺は呻いた。起き上がろうとしたらものすっごく痛かったんだ。どこがって、下半身。というか股。もっというとお尻の……なか?
「起きられそうか? 大丈夫か?」
いつもそうそう動かない眉が跳ねたり下がったりしている。注意深く俺を覗くせーまは、意識を失う寸前まで見た表情とどこか似ていた。切羽詰まってるっていうの? 早くしなきゃって焦って、一生懸命に腰を振ってた時と……。
「ん? おい、顔が赤いぞ? 具合悪いのか?」
「ち、違う。別に、だいじょ、ぶ」
視界に幻の湯気が見えるほど、本当は熱が集まっていた。なのにせーまは俺の額に手を当てて、「でも、熱いな」と声を落とす。せーまの顔色も悪そうだ。
そりゃ、そうだよね? せーまだってすごい……疲れたと思う。一杯汗も出てたし、身体も火で焙ったようにずっと熱かった。とくに……あそこ、とか。
あんなことの後だからか、思考がどうしたっていやらしい方向へ流れてしまう。なんてはしたない。恥ずかしいよもう。
「それよりおい、そろそろ支度しないと帰りが遅くなるぞ?」
「え? ……今、何時?」
せーまに手を借りて、上半身を起こした。そこでハッとなる。俺だけ、まだ裸。せーまはとっくに身支度を調えていて、自分だけが取り残されたようでちょっと惨めだ。知らず知らず、口が尖っていく。
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