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くちゃくちゃと二人の唾液が混ざり、喉の奥に伝う。刹那、胸が跳ねるほど咽せた。
「あ、悪い! 灯、ごめん、大丈夫か?」
ケホケホとしか返事が出来なかったが、せーまに背中をとんとんされると落ち着けた。
「も、もう、いきなり吃驚する」
「ごめん」
火照った頬に、せーまの手が添えられた。ちょっとひんやりして気持ちいい。
「灯、朝まで一緒に居よう」
額をこつんと当てて、ようやくせーまが欲しい言葉をくれた。「うん」と頷くと、ちょっと首を伸ばされてまた口付けを交わした。
「ずっと、一緒にいような? 俺、灯を守れる男になるから」
え?
「お前に不自由させないくらい、しっかり稼ぐから。いつまでも俺の傍にいてくれ」
ちょっと大袈裟な話になってしまったが、嬉しいことにかわりはない。俺だってそのつもりだ。せーま以外、考えられないもん。
「まずは……、蒼さんだな」
「え? あ、蒼姉?」
誰もが見惚れる顔をキリリと整えたせーまは、決然と立ち上がる。
「せ、せーま?」
「ちょっと……、蒼さんに電話してくる。お前が泊まること、許してもらわないと」
「え? それなら俺が」
「いいから! お前は、ここで休んでろ。行って……、くる」
下手に口出しできない緊迫した空気に気圧されて、黙って見送った。
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