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十五分、三十分経っても戻らないので心配になって、ふらつきながら部屋の扉を開けた。すると、リビングの方からひたすら謝るせーまの声が耳に届いた。
大丈夫かな?
また蒼姉が面倒臭いことを言ってるんじゃないか。せーまがもう俺なんかと付き合えない! て思ったらどうしよう……。
一抹の不安を覚え、俺は壁に手を添えながらせーまの元へ向かった。
「灯?」
ソファの前で直立不動になったせーまがぎょっと俺を見る。走り出そうとしたものの、身体がいうことをきかない。足元から崩れ、ぺたんと床へ座り込んだ俺に、せーまが慌てて駆け寄ってきた。
「大丈夫か?」
覗き込むせーまの手からスマホをぶんどり、大きく息を吸い込んだ。
「朝までせーまと一緒にいたいから、今日は帰んない! 邪魔、しないでっ」
せーまの視線をびしびし感じたけど、気付かないふりをして通話を終了させた。
俺からスマホを受け取ったせーまは盛大に瞬きをした後、「ふっ」と鼻で笑った。その表情は穏やかで、太陽みたいに眩しくて、ハッキリ言って惚れ惚れした。だから頬がかぁぁっと熱くなる。
「灯」と呼ぶ声に誘われて、しばらく言葉もなく見つめ合った。それからどちらともなく笑い出して、そうなるのが当然のようにキスを交わした。
大好き、せーま!
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