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灯は駄々をこねるように文句を述べ始めた。
「だって、いつも灯ちゃんの子守してたら友達と遊べないし、彼氏だってつくれないよ。たまにはいいでしょ」
「うぅ、そうだよな。ごめん……。て、真智、彼氏欲しいの?」
「そ、そりゃ私だって憧れるわよそういうの。悪い?」
灯はしどろもどろに、悪くないと伝えた。
というか。
「あ、せーま起きた。おはよ?」
お前ら恋人同士じゃないのかよ! と叫びそうになり、唇を噛む。
「なんか機嫌悪そう。嫌な夢みたのか?」
窓枠から身を乗り出し、俺の前でひらひら手を動かす須田を、睨み付けた。
◆◆◆
須田との接触を少しでも控えるために、俺の戦いは始まった。
幾度かの失敗を繰り返し、今日こそは一人で昼食を摂ろうと決めた。
鐘の音と同時に立ち上がり、廊下を出る。なのに、さっそく問題の声に呼び止められた。
「あ、せーま! 今日も一緒に食べよう」
足が速すぎる。確か須田は一組で、俺の五組とは一番離れているのにおかしい。
「ご、ごめんね宮内くん。迷惑なら私から灯ちゃんに言うよ?」
そんな言われ方をされて、「頼む」とは返せない。
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