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「なら今、受け取っておく。誰かコイツ、保健室に連れてってくれない?」  手近な女子に頼むと、二つ返事で受けてくれた。あえて爽やかな笑顔を意識して、俺は不細工三人組に足を向けた。奴らは決して目を合わそうとはしなかったが、構わず釘を刺しておく。 「貴様らの顔、しっかり覚えてるからな。あの時も今も」  怒りのあまり、視界がぼやけた。 「二度と灯に近づくな」  ◆  須田は昼休みのうちに早退したと、真智が教えてくれた。そんなに知りたそうな顔をしていただろうか。  勝手に取り上げてきたトートバッグには、二人分の弁当箱が確かにあった。引き取った以上、完食すべきだろう。白井を付き合わせてご馳走になったが、独り占めしてもよかったかも。それほど美味しかった。ところが、奇妙なものを発見した。  それは、ころんとした胡麻のおにぎり、ハート型のおにぎりを順に箸で崩して食べていた時。弁当の底に、綺麗にラップされたメッセージカードがあった。 『灯の友達になりたいのなら顔をみせにいらっしゃい。次の休みに待つ。須田蒼』  チューリップのイラストで縁どられたその、果たし状に近いものを恐る恐る真智に見せた。すると、「灯ちゃん溺愛されてるから、まぁ、やりそうなことかな?」と苦笑された。     
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