5/7

386人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ
 須田家の事情を知っているらしい真智にとって、これは全然おかしなことではない、そういうこと?  頭の中でいくつものクエッションマークが飛び交い、絡み、頭痛がしてきた。  果たして、次の休みとやらは明日のことか。今日は金曜日である。 ◆ 〈もしもし? あ、でたでた。あのさ、今日はありがとな。姉ちゃん達に話したら、お礼がしたいから家へ来てもらえって言うんだけど……明日、暇?〉  くっ。迷いながらも電話に出たことを早くも後悔していた。おかげで口ごもる始末。   俺はスマホを耳にあてながら、自分の部屋を歩き回った。   〈あれ? 聞いてる? せーま?〉  せーま、せーま。と須田が馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返す。本気でどちらかのスマホに通信障害が起きたと心配し始めるので、渋々応えた。  ベッドの端に腰を落ち着けて、唇をぐっと噛んでからそっと訊く。 「もう、体調はいいのか」  須田はホッと安堵の息を吐き、歌うように「平気平気~」と言う。続けて弁当の味について訊かれたので、美味しかったと事実を返す。   あぁくそ、違う。  一番言いたいことは他にある。なかなか切り出せず、空いた手で頭を抱えながら声を絞り出した。 「……てか、さ」 〈ん、なに?〉     
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

386人が本棚に入れています
本棚に追加