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須田家の事情を知っているらしい真智にとって、これは全然おかしなことではない、そういうこと?
頭の中でいくつものクエッションマークが飛び交い、絡み、頭痛がしてきた。
果たして、次の休みとやらは明日のことか。今日は金曜日である。
◆
〈もしもし? あ、でたでた。あのさ、今日はありがとな。姉ちゃん達に話したら、お礼がしたいから家へ来てもらえって言うんだけど……明日、暇?〉
くっ。迷いながらも電話に出たことを早くも後悔していた。おかげで口ごもる始末。
俺はスマホを耳にあてながら、自分の部屋を歩き回った。
〈あれ? 聞いてる? せーま?〉
せーま、せーま。と須田が馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返す。本気でどちらかのスマホに通信障害が起きたと心配し始めるので、渋々応えた。
ベッドの端に腰を落ち着けて、唇をぐっと噛んでからそっと訊く。
「もう、体調はいいのか」
須田はホッと安堵の息を吐き、歌うように「平気平気~」と言う。続けて弁当の味について訊かれたので、美味しかったと事実を返す。
あぁくそ、違う。
一番言いたいことは他にある。なかなか切り出せず、空いた手で頭を抱えながら声を絞り出した。
「……てか、さ」
〈ん、なに?〉
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