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脳天気な声に苛立ちが積もる。それはもう午後からこんこんと降り続けてうんと高くなった、怒りの山。
「襲った奴らと同じクラスなのに、よく平気でいられるな」
〈え〉、と間抜けな声に歯止めが利かなくなる。
「あんなに怖がってたのに、信じらんね」
須田を傷つけたくはないけれど、目撃した者としては見るに堪えなかった。無防備すぎる馬鹿に文句の一つくらいはぶつけたい。
〈あ……、ごめん。でも、心配してくれてありがと〉
喧嘩を売られている気分だ。
〈大丈夫だよ。慣れてるし……て、引くよなこんなこと言って。気持ちわりい?〉
神経が痺れて、千切れそうに痛くて、本当に気分が悪くなる。
〈あんな場面見られてすっげぇ嫌だったけど、助かったし。ほら、せーまは普通に接してくれるだろ。なんていうか、その、つまりさ〉
しどろもどろにたっぷり引き延ばしてから。
〈せーまになら弱音吐いてもいいかなって〉
急に頭が重くなり、膝を立てて額をくっつけた。真っ暗になった視界の中、須田の馬鹿でアホな強がりが聞こえてくる。
〈本当は教室にいるのヤダよ。だから、放課も昼休みもいたくない。あいつらの顔なんて一生見たくないし、見られたくない。皆にバラしてやりたい〉
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