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 本気でそう思っている。ドタキャンされたと判断されてもおかしくない。けれど、灯はそんな俺をひたすら待っていて、「何かあったのかって心配したよ~、もぉ」と怒るどころか腰を抜かしてくれた。おかげで歩き出すのにまた時間を食い、現在に至る。 「許してくれるまで、根気よく謝るしかないよな。灯にも付き合わせて悪いな」  肩を竦めながら言うと、灯はキャラメル色の瞳をくりっと丸めた。 「せーま男前だな! なんか今さ、キュンってきた」 ――ガチャ! ゴンッ! 「なぁっ! せーま大丈夫?! いきなり開けるなよ蒼姉っ」 「だって嫌な予感がしたんだもの! 間違いないわっ」  一瞬何が起きたか分からなかった。顔面に直撃した痛みによろめき、手で押さえながら事態の把握につとめた。なるほど。そういうことか。つまり、予想通りの手ごわいお姉様だということ。 「せーまのカッコイイ顔に傷でもついたらどうするんだよっ、もう! 早く謝って!」  灯に謝罪を要求された蒼さんは、つんと顎を反らし、涼やかな双眸をこちらへ向けた。短く、濃い眉は融通のきかなそうな頑固さが窺える。目尻の黒子はどこか艶めかしい。顔はやや細面だ。肌は年齢を予想できない透明感をたたえ、ふっくらとした唇は赤く色づいていた。髪はかなりのショートで、身長は俺といい勝負。     
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