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思わず素っ頓狂な声を上げ、背を仰け反らせた。がしかし、一眼レフを首から下げたふわふわパーマの女性は、そんな俺の様子まで逃すまいとシャッターを押しまくった。
な、なにこの人。こわっ!
「カメラ目線はいらないの。あっち向いてて」
カメラを顎まで下げた女性は、凛とした目を俺に向けた。頬の丸さや顔のパーツはほぼほぼ灯と似ているが、目元だけは蒼さんに近い。そして、スクエアフレームの眼鏡が派手。ずる、と下がるのも構わず「あっち向いて」と再び注意された。
俺は素直に顔を逸らし、隣の妖精に助けを求めた。
「陸姉だよ。イケメンが大好きなんだ」
あぁ、確かカメラオタクで変態の……。
「春姉、仕事で悔しがっていたから後でたくさん見せてあげるの。あ、須田家三女、陸です。せーま君、最近読んだ鬼畜攻めキャラに似てる。そそるわー」
きちくせめキャラ?
意味深はワードは聞き流すべきだと思った。
「陸姉はさ、俺に近付く男の心理を知りたくて、その手の本読み出したらハマッたんだって。大学のサークルで漫画とか小説創ってるんだよ。ええと、ボーイズラブだっけ?」
ふぅん、と頷きながら喉を潤わすべく、湯飲みを手に取った。予想外の熱さに一瞬むせたが、飲み下す。そして、白湯だった。
このまま苛められたら気を失うかもしれない。
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