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 葛藤の果てに出した告白。覚悟も勇気もありったけ掻き集めた。なのに、俺は今すぐここから煙のように去りたいと思った。 「だから友達になれないし、なりたくない。灯を恋人にしたい」  俺が椅子から立ち上がると、その気配を察して灯がビクッと肩を震わせた。思わず顔を上げたってとこだろう。まともに俺と目があって、あたふたしながら視線を泳がせた。顔は色を塗ったように赤々と染まっている。 「そっ、そ、んなこと……いきなり言われても……、困る」  しどろもどろにそう告げると、灯は羊を脇から正面へ回し、自分の顔を隠すようにして抱いた。 「悪い。驚かせたな」 「……あ、べつに……謝らなくていい……けど、でも。そんな……の、信じられないっていうか」  ええと、ええと、と必死に言葉を探そうとする姿に胸が震えた。 「い、いつからそんな……こと、に、なってたりしたの」  灯の混乱ぶりを見ていると、不思議と緊張の糸が緩んだ。おかげで笑うことが出来たし、からかう余裕まで生まれた。 「ふぅん。女みたいなこと聞くんだな?」 「な!? なにそれ! そりゃ聞くし。権利とか、あるし。その、どうせ顔がいいとか、そんなとこだろ」       
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