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「あの、反対してたんじゃないんですか? 俺、ゲイなんですよ?」  半ば自棄になって言うと、「そんなこたぁ、初めから分かってたわよ」と言い返されてしまった。 「それをね、羊の皮を被って理解ある友達のふりしてゆっくり時間をかけて灯を信用させて、その挙句に狼になるのだけは許さないの。そうじゃなければ話は別よ。だいたい灯に惚れるのは仕方のないことよね。あんなに可愛らしいんだもの」  その点については同意見だ。 「灯のことを本当に本気で大切にしてくれるなら、男だろうが女だろうがこの際どうでもいいわ! はっきり言って私がいればそれでいいとも思うし、私が灯より長生きすれば問題ないと思うの。でも、そんなの分からないじゃない!? 保険が必要なのよ。灯を私達の代わりに守ってくれる存在が! だから、貴女の覚悟を見せてごらんなさい」 「目指せ美形カップル! 頑張れせーま君~」  扉を閉めるとまだごちゃごちゃと喋り声が聞こえるが、無理矢理「さよなら」してきた。  異世界から戻って来た気分って、こんな感じじゃないか?  そして、家に帰ると母が待ちかねるようにして俺を迎えた。「振られた」と一言だけ告げて、部屋に籠もった。 
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