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「何って、合コンだろーが! 失恋の痛手を俺なりに気遣ってやってるんだっ」
「……別に頼んでない」
露骨に嫌な顔をして見せると、今度は怒りだした。
「馬っ鹿やろう、今更そんなこと言われても困るぜ! お前がいるから成り立ったんだぞ! 俺の顔をつぶす気かっ」
「せーま、合コン行くのか?」
拝みだした白井を手でしっしっ、と払っていたら、予想外な声が入ってきた。
「そうなんだよ灯ちゃん。コイツってば、最近失恋したばっかで傷心ちゅう。だから俺合コンセッティングずみ」
その失恋相手に言ってるとは夢にも思わない白井。そりゃそうだ。分かるはずもない。だから白井には何の罪もないが、かなり腹が立ってきた。これはもう、逆に合コンへ乗り込み、白井に敗北感を与えてやろうかと姑息で尊大な考えが浮かんだ。
「あ、良かったら灯ちゃんも来る? あいつも喜ぶだろうし」
「えっ」と驚く灯を遮って、俺は瞬間的に「あいつって誰だ」と訊いていた。
「あーほらほら、俺男子校に友達いてさ。去年のうちの文化祭で灯ちゃんに一目惚れしたってやつ」
一目惚れっ!?
「ばっ、馬鹿にしてんのかお前! 灯がそんなとこ行くわけねぇだろっ」
「……行く」
「だろ? 行くわけな……、ない、よな?」
聞き間違えただろうか。
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