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「せっ、せーまの馬鹿っ」  再び罵られたが、俺はぐっと堪えて「なんで?」と優しく返した。その態度にいくらか戸惑っているのか、灯は俺との距離を気にしながら後退し、なぜかカーテンにしがみついく。 「だ、だって俺、待ってって言ったのに! 考えてるから待ってって」  そう言ったのに、と悔しそうに足を踏み鳴らす。そして引きちぎらんばかりにカーテンを掴む。 「な、なのにさ、もう他の人を好きになったんだろ? 合コンにも行くって言うし……」  ええと。これはつまり、どういうことだ?  灯の文句を一から順に並べて考えると、まさかの可能性が浮上した。 「お、俺、せーまに告白されて悩んだ。たくさん、考えた。真剣だと思ったから、いっぱい考えてたのに」 「……なぁ、おい。ちょっと待て」  一気に距離を詰め、灯の肩にそっと手を置いた。直後、大きな目がこちらに向けられた。切なげに潤み、少しばかり熱のこもった宝石みたいな瞳。 「灯、俺に告白されて傷ついた? 裏切られたって思った? 俺のこと嫌いになってない?」 「えっ……? な、なにそれ」  せっかく俺に顔を見せてくれたのに、また逸らそうとしたから咄嗟に掴まえた。     
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