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「ひ、ひぁ!?」と可愛い悲鳴が上がっても動じず、灯の顔を両手で固定したまま俺は二度目の告白をした。
「灯が好きだ」
ぎょっと見開かれた灯の瞳に、涙の膜が張った。
「俺と付き合ってくれ。頼む」
じわり、じわりと灯の頬に熱がこもる。涙はどんどん目尻に溜まっていく。
「返事は?」
きつく結ばれた唇がぱかりと開いて、白い前歯が覗けた。大いに戸惑いながら開こうとする口の中に、桃色の舌が見える。ガンッと下半身から乱暴な熱が突き上げてくる。それを堪えるために、灯の額に自分の体重をそっとかけた。やめてと突っぱねられることもなく、額を通して灯と繋がれた喜びにホッとした。
灯も少し落ち着いたのか、口を開いてくれた。
「ご、合コン……は」
「行かない」
「誰に……、失恋したの?」
「……は?」
さっきから妙に会話が噛みあってないんだよな。
「俺が失恋したんならそりゃ、お前だろ。さっきから何わけのわからんことを言ってるんだ?」
「えっ? で、でも俺……別にせーまのこと振ってない、し。考えさせてってちゃんと伝えた」
「はぁ? いつ? そんな会話覚えてないんだけど」
「うそ! ま、前ほら、校門の前で久しぶりに話せて……。蒼姉が迎えに来た時」
んー、と俺は呻りながらキーワードを頼りに思い出した。
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