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「でも、せーまが合コンに行くのは嫌だし……、せーまには俺のこと……気にしてて欲しい。せーまが女子と一緒にいるの、見ると嫌な気持ちになる」  何とも傲慢なお姫様発言をしてから、こう続けた。 「俺、女だったらよかった」  さすがに虚をつかれ、灯の泣き顔を呆然と見つめてしまった。 「だって、そしたらせーまにすぐ応えられた。せーまのお母さんも傷つかなくて済むだろ? だから、俺せーまを好きになって良いのか……分からなくて」  じん、と眼球の奥が痺れた。  目頭に熱が集まることに狼狽え、たまらず灯を腕の中へ囲った。ぎゅっと力を込めて。 「せっ、せーま?」 「灯、俺を好きになって。母さんのことは考えなくていい。灯が気にすることじゃないんだ」 「でも……」 「大丈夫」  何が大丈夫なのか分からない。でも、力強く言った。灯を安心させるために。  確かに母の顔がよぎらないでもない。間違ったことをしている自覚も十分にある。  それでも、灯を手に入れたい。きっと何とかしてみせると自分に誓った。 「あ、あの、でも、うちも姉ちゃん達がうるさいと思うけど……大丈夫?」  迂闊にも間をあけてしまったが、「もちろん大丈夫だ」と応えた。するとおずおずと、腕の中で灯が動き、俺の背中に手を回してきた。しがみつくようにブレザーを掴むとついに、とうとう、待ちに待った瞬間が訪れた。     
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