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「じゃ、じゃぁ……俺、せーまの恋人になる。よろしく」
「――っ!」
言葉にならない喜びが全身を包み、絶叫したくなった。もちろんそんな無様なことはしない。どうせならこうだ。
「灯、キスしたい。いい?」
「えっ!」
がばっと顔を上げた灯は、俺の胸を突いてやや距離をあけた。それはもう大変可愛らしく頬を赤らめ、「い、いきなり?」「そ、そういうもん?」と慌てふためく。たまらん。
「そういうもんだ」
「そそ、そう、なんだ……。う、うん」
ぺたりと頬に手を添えると、灯の肩がわずかに跳ねた。わざとらしくじっと見つめていると、盛大に視線を彷徨わせた挙げ句に、勢いよく瞼をとじた。顔中しわくちゃだ。
胸の内でいただきます、と唱えてから灯の腰に手を回し、引き寄せた。「あっ」と驚かせる間も与えず、覆い被さるようにして灯から声を奪った。
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