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 唯一の味方で、全てを承知しているのは真智。彼女を挟むことで秘密の関係はカムフラージュできるし、何より応援してくれるので大変有難かった。  今の所デートといえば、学校から灯の家へ着く間くらい。その後、灯の部屋で小一時間ほど過ごして帰るのだが、あの姉達が何かにつけて邪魔をしてくるので落ち着かない。おちおち灯を可愛がることも出来なかった。だからこそ、誰の邪魔も入らないこの時間は貴重だ。  昨日は、所用があったので駅で集合するようお願いした。 「あー、文化祭の準備で遅れたって言ったな?」 「それが嘘! 本当は三年の綺麗な人に告白されてたんだろ? なのに、俺に嘘吐いた! そこ、嘘つく必要ある?」 「あぁ……」と俺は溜息とも嘆きとも言える声を上げ、頷いた。  俺に関する噂話はやたら広がるのが早い。 「今は付き合ってる子がいるし、ごめんってハッキリ断ったよ? それにさ、告白される度に灯に報告してたらきりないし。嫌な気分になるだろ?」 「す、すぐに振ったら、あんなに遅れない! 俺、二十分も待たされた」  ふん! とそっぽを向く灯は、俺に背を向けて肩を震わせた。強気な態度をとるくせに、すぐに自分の言動に自信がなくなる。そしてどんどんネガティブな思考へ落ちていくのだ。 「ま、迷ったんじゃ、ないの……本当は」     
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