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奥へ引っ込めようとする灯の舌を絡め取り、付け根をなぶった。互いの唾液が一気に溢れ、濡れた音が口の中を満たしていく。
柔らかくて、いやらしくて、熱い。どんな甘味よりも甘くて癖になる。
必死について来ようとする灯だったが、さすがに息が苦しいのか。俺の胸に拳をあてて、トントン叩いてきた。
仕方ない。最後に上あごを舌でざっとなぞり、唾液の糸を引いてなくなく離れた。
「はぁ、はぁ……もぉ、せーま」
艶々光る口に拳をあてて、灯はごしごし擦った。それから熱っぽい目で「どうしてそんなに舌べら動かせんの?」と心から不思議そうに首を傾げる。
なんという可愛らしさ。
両想いだという事実はもはや疑いようがなく、むしろ灯の意外な嫉妬深さに愛情を感じた。思えば、コイツは三姉妹に溺愛されて育った甘えん坊の寂しがり屋なんだ。
唇の皮がめくれるんじゃないか? と危ぶむほど擦っているので、とりあえず灯の手首を掴んで止めさせる。火照った頬へ手を添えて、額をコツンとくっつけた。
「舌入れるの、嫌?」
二人しかいないのに、わざと声を潜めて訊いてみた。まるで内緒話をするみたいに。
「えっ……? べ、べつに。そんなこと……」
かぁぁっと灯の身体が熱が発するのを肌で感じた。それに呼応するように、俺の中もじわじわ熱が集まりだした。
「嫌じゃない?」
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