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 ◆◆◆  文化祭を週末に控えると、ますます慌ただしくなってきた。灯を家まで送り届けるのが唯一の楽しみだが、近頃は帰るタイミングが合わない。  秋も深まる11月。陽が沈むのも早く、夜の暗さが苦手な灯には辛い季節となった。そういうことを含め、蒼さんの送迎が続いている。  だから、真智や白井を交えての昼食後、時間をずらして視聴覚室で落ち合う。わずか二十分足らずの逢瀬を味わった。 「ぁ……、まぁっ、て」    灯を窓際の隅へ追いやって、壁に押さえつけた。指を交差させて握り合うと、見つめ合うのもそこそこにしてキスから始める。  一日一回のキスも、月一のエッチも守れるわけがない。時と場所さえ許せばその先だって進みたかった。でも、生憎チャンスが訪れない。とはいえ、灯の学習能力たるや凄まじく、どんどん俺好みに変化していく。可愛いだけでなく、そこにエロさも加わるなんてとんでもない。そして何より、健気だった。今ではもう舌を絡め合わせてくれる。拙いながらも応じようとするその姿が、堪らない。  灯が夢中になっている内に念のためカーテンを引いた。最上階であるここを覗けるのは、せいぜい太陽か鳥くらいだが。       
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