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 なら最初から交換するなと責められるが、しつこく聞かれれば断ることすら面倒なもの。連絡が一方通行なら、そのうち諦めてくれる。 「真智、今日何時に帰れる?」  俺の耳は勝手に須田灯の声を拾い上げる。今日はやたら来る頻度が多くないか。俺は一欠片も視界に入らないよう、仕方なく白井と向き合った。まるで親睦を深める友人のように。 「白井はやっぱ部活三昧か?」 「まぁね、家族で旅行いったけど疲れただけ」  俺がカフェオレを飲み終わるまで、白井は探偵気取りであれこれ喋る。 「王子は夏休みもお盛んだったそうで。図書館や、映画館で目撃されているぞ。あ、部活の先輩がお前に彼女とられたって騒いでたな。ほどほどにしとけ? 恨まれるぞ」  チョコチップメロンパンをかじりながら、記憶を探ってみた。  母が家にいるときは居心地が悪く、図書館で時間を潰した。そこで声を掛けられ、何人かと映画に行ったのは確か。ただ、人の恋人など奪わない。 「被害妄想だな。心当たりがない」 「まー、彼女さんが勝手に心移りしたって所だろうけど。モテすぎるってのも辛いなぁ。ね、灯ちゃん」  白井とのくだらない会話に思いがけない名前が登場し、激しくむせた。 「え? あ、えーと、そこの人大丈夫?」  そこの人? 俺か? 俺だな!?  白井と真智の視線を感じ、背中は特に熱い。 「へ、平気だ」     
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