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<あ、あのぉ、今大丈夫? 電話してても平気?>  いつも通りの声だった。でも、聞いた状況と灯の暢気な様子が噛み合わなくて混乱する。 「お前は……、大丈夫なのか。病院に運ばれたって」 <あー、それ! 話が大袈裟になってるだけで、全然元気だから! 真智が余計なこと教えたみたいだけど俺、平気! ごめん、大事な時に変なことになって本当にごめん>    へへ、と鼻を啜って笑っている。分かっているのか、お前の演技は結構下手だぞ。 <何寝ぼけたこと言ってんの! 灯が謝る必要なんかないわ、被害者なんだから。静馬君、さっさと灯の元へ来なさいぶん殴ってやるからっ> <ちょっ、蒼姉やめてよ! せーまは今日大事な> <灯より大事なことなんかあるわけないわよっ>  元気で物騒なやりとりが両方の耳に入ってくる。それはつまり、廊下を抜けた先に電話の主がいるということだった。無人のコインランドリーやシャッターの下りた売店などを通り過ぎ、夜間受付の待合室に数人の影を見つけた。 <あ、蒼さん、ここ病院ですからお静かに。それに殴っちゃだめですよ!> <真っちゃん、いやね。病院だから殴っていいのよ?> <じゃぁ私は蒼姉に殺されそうになるせーま君を激写する~>     
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