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 まずは一番迷惑を掛けた蒼さんに頭を下げた。  蒼さんは「本当に」と吐き捨てるように言ってから、「灯のことはもっと注意してくれなきゃ困るのよ」と、掠れた声で呟く。 「はい」と頷いてもう一度謝ると、受付から声が掛かって蒼さんは会計へ向かった。 「灯」  ごめんな、と繰り返し言いながら足元へ跪いた。膝の上でぎゅっと固めていた拳を掴み、下から覗き込むようにして「灯」と呼びかけた。 「な、なんで……、来ちゃうの……」 「うん。ごめん、来た」  そう言うと、灯は困ったように眉を八の字に変えて、おかしいくらい瞬きをする。 「なんで……、せーまが謝るんだよ」 「遅くなってごめん。気付くのが遅くて悪かった。怖い思いさせて、ごめんな」 「だ、だから、なんでせーまが……。せーま……」 「うん」 「せーま……」  灯の目尻にどんどん涙が溜まっていく。それを隠そうと俯いた瞬間、灯に抱きついた。 「灯、怖かっただろ。傍に居てやれなくてごめんな」 「ふっ……うぇ、ふぇっ」  うわぁああ~、と子供のような泣き声が上がった。灯が素直になってくれたことにホッとしつつも、どんなに怖い思いをしたのか身に沁みた。役立たずの自分は少しでも灯の声を隠せるようぎゅっと抱きしめることだった。     
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