15

4/13
前へ
/148ページ
次へ
 きゃははー、と品のない笑いがやけに耳障りだった。  多分、俺にさえ知られたくない事実を隠したくて、灯は必死にスマホを取り返そうとしたのだ。病院でうんと泣き喚いてから、そのことを教えてくれた。だから、学校で変な噂が立って俺に迷惑がかかるかも、と何度も謝った。  俺は、正直嬉しかった。隠し撮りしたのも待受けに設定したのも、実は陸さんだったと聞かされても、それを灯が受け入れていることに喜びを覚えた。灯にならストーキングされても許せるだろう。  ちなみに、守ろうとしたスマホは雨に打たれて買い替える羽目になってしまった。 「そ、そんなの……デタラメだから」  耳まで赤くしながら、灯は精一杯の嘘を吐き、はにかんで見せた。そんな無理な笑顔、こいつらに見せる必要なんかないのに。無視すればいい。なのに、律儀に返事なんかして。 「ね、静馬も灯ちゃん構うとゲイだって思われちゃうよ? 注意しないと」    ざら、と神経を逆なでする音が身体のどこかで上がった。すぐ隣にいる白井は「女子ってこえぇ~」とわざとらしく歯をカチカチ鳴らす。     
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

386人が本棚に入れています
本棚に追加