プロローグ

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プロローグ

 ソイツを一目見て、関わっては駄目だと瞬時に思った。  それなのに、よりにもよって最悪な場面に遭遇したのはなぜか。天罰か。因果応報ってやつなのか。とにかく、目に見えない力が働いたとしか思えない。    その日も朝からしとしと雨が降っていた。梅雨だから仕方ないとはいえ、ただ座っているだけでも汗ばみ、衣服が肌に張りつく感触は不快だった。さらに、夏休み間近という浮かれた気分のせいか、やたら告白される。意味不明だ。  事を起こした輩は、そんな空気に煽られたのだろう。  今日もいつものように購買でパンとカフェオレを手に入れ、俺は美術室へ向かった。画材の臭いがしみつく場所で昼食を摂る変わり者はそういない。一人になるにはもってこいだった。それに、幽霊部員ではあるが一応は美術部。俺がいても不自然ではない。   部員の溜り場でもある準備室へ入り、講師の机で堂々とパンをかじった。余った時間は眠ることで解消する。降りしきる雨を子守唄にしていると、煩わしいだけの音が心地よく聞こえてきた。そのせいで、変な夢を見る。     
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