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雪の記憶を爪弾く 白群の消失点
音もなく最初の雪が舞い降り、地面に落ちると瞬く間に溶けていった。
透明で、小さくて、けれど形は雪の結晶のように美しい。
積もる前に地面の上で解けていった雪のような恋。
恋と呼ぶには綺麗すぎて、恋と呼ぶには一瞬で、恋と呼ぶには雪のように儚い。
一瞬だけでも確かに幸せだったと四人は空を見上げる。
視線が交わる、朝日の先にあるのは白群の消失点。
それはある一人の高校生の、淡い恋と一瞬の夢で紡がれた。
小さな雪の音を聞き逃せなかった。ただそれだけのこと。
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