発覚

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 「...というワケで今後の君の報告を期待する。既に潜入している先輩にもよろしく。」  流暢な日本語による指令は終わった。地球のパソコンと変わらないように改造した通信・モニターから上司の姿が消え、自分も地球人に擬態する。  「なに、今泉クンってタコなの?フィラフステ星人って宇宙人?」  空いたドアから部屋に入ってきた酔っ払い女の箱田雛が矢継ぎ早に質問してきた。   (しまった、発覚した。俺、今泉成人がフィラフステ星人だと。)  終電過ぎまで飲み、潰れたのでもう起きないだろうと居間ソファーに箱田を寝せたまま定時報告をしていた今泉だが、良い報告に浮かれドアを開けられたのに気づかなかったのだ。  「いやぁ、俺、タコに見えた?ホントに?やるじゃん俺!」  「は、何言っているのよ、紫色のヌメっとしたタコ的にキモイのがアンタになったの見たのよ。ここまで声優として立派に…とか聞こえたから、田舎に電話してるマザコンかと思ったら、ドア開けたら紫のタコがピンクのタコ相手に自慢してて。」  「え、演技の練習だよ、受かったんだよ、深海冒険マリンレスキューって映画の宇宙蛸人の探査員B役に!そうか、タコに見える程の演技が出来るとは。」
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