野望

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野望

 それは40年程前の話だ。地球から180万光年程離れたフィラフステ星から銀河系探索に打ち上げた無人ロケットが微弱な、しかし何かの信号とわかる電波を捉えたのだ。フィラフステ星人の科学者が解析をした結果、それは2次元星人の記録だった。そして、その小さな銀河を探検する2次元星人の話は平和を好むフィラフステ星人の心に大きく響いた。  第704太陽系第3惑星に2次元星人がいると突き止めたフィラフステ星人は、無人観察艇を多数派遣した(それは地球ではUFOと呼ばれたらしい)。しかし、そこに居たのは乏しい科学の中で粗暴に生活する3次元星人の姿だったのである。  フィラフステ星人は大きく失望したが、同時にその惑星の日本という所から最初の電波が流されたコトを知った。当時流行って映画化された「帰宅後のステマ・まじか」という作品のプロモーションとして、大型アンテナから宇宙に電波を発信していたのだ。  日本のアニメーションには粗暴な物もあったが、中にはフィラフステ星人が涙する作品も多数存在した。そしてフィラフステ星人たちは日本海溝の底に遠征基地を作り、タコに近いDNAを利用した擬態シテスムにより人間に紛れ、感動するアニメーションを作る為の調査員を各所に送り込んだ。  その中の一人が声優学校の調査員である今泉成人であり、先行して地球に降りていた調査員たちが大変な苦労を重ねて作ったのが、アニメーション制作会社「蝦山スタジオ」なのである。
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