激闘

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 4DCGSとはフィラフステ星人が開発したアニメ用システムである。フィラフステ星人形態の監督調査員または演出調査員の頭部に針状のセンサーを刺して、脳内の画像を自動的に3DCGとして出力する。地球でいうコンピュータ部分は光速を遥かに超える内部回路であり、そのアニメ制作の大半の時間を短縮する能力をして4次元コンピュータグラフィックシステム、通称4DCGSと呼ぶ。  音については音楽監督も出来る監督調査員であれば自動作曲されるし、そうでない場合は監督調査員の脳内データサンプリング後に音響調査員と作曲調査員の頭部に針状のセンサーをぶっ刺して効果音及び劇判と呼ばれるBGMを作る。もちろんセンサーを付けた頭部のダメージは大変なもので、実用試験でも1/3の調査員がフィラフステ星に帰還した。  「無論、担当各調査員は受け入れてくれた。皆、野望を果たしたいのだ。」  4DCGSで監督・演出調査員たちが苦痛を味わう中、間島たち制作進行調査員は走り続けた。車と足で。制作打ち合わせ、設定、脚本、演出、原画、動画、彩色、撮影、音響、編集、納品など、全ての制作スケジュール進行は彼らの手にかかっている。4DCGSでの時間短縮は素晴らしかったが、それでも一部、手書きのアニメについては事情を知らない地球人たちに二割程度スピードアップを要求したからだ。間島時男の額は土下座のし過ぎで、擬態を解いても皮が剥けてるように見える程となった。
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