序章

2/7
前へ
/26ページ
次へ
_あ_ 「柊奏(ヒイラギ カナデ)です。よろしくお願いします」 柊奏、中学2年 親の転勤似合わせて引越してきた。 引っ越す前私は東北の方で暮らしていた。そのため自然とあまり触れ合う機会がなかった。 新たな家があるのは、近畿の方。 しっかりと言うと奈良県だ。 「よろしくお願いします!奏さん」 席に着くと横の席から声がかかった。 声をかけられたのは、中々のイケメンだと思う。恐らく学校でも人気がある方だと思う。メガネを掛けていても溢れる何かの力。 「よろしくお願いします。すいませんが、名前を聞いても……」 イケメンさんは、指摘されたことで気づきハッとした顔をした。そして、手で頬を掻いていた、照れ隠しみたいだ。 「陽造天紫です。見ての通り、隣の席です。」 陽造さんは、片手で自分の席、もう片方で私の席を指していた。 まだ続いて話していたが、私は適当に流していた。 「あの、ちょっと聞いてるんですか?柊さん!?」 話を適当に流したことに気づいて、陽造さんが怒ったようすで言う。そしてまた語りだした。 私の中では、正直どうでもよかった。 「はい。分かってますよ。凄いですね。へぇ。凄い。」 流石に可哀想だと、耳を傾けると難しい話を語っていた。 「聞いていませんね。もういいですよ。」 陽造さんは、溜息をつき何処かに行ってしまった。教室に生徒はいるものの、誰も私に興味を示さない。まるで、空気になった気分だ。 「チャイムが鳴るぞ。席につけ!」 少し厳つそうな声が教卓から聞こえた。 首を動かし見てみると、いかにも体育教師らしい体格をした先生が何かを片手にしていた。 「起立!!礼、着席!」 椅子を引きずる音と共に洗練されたような動き。何をするにしても、生徒達の動きは揃っていた。 私も合わせようと動くが、タイミングが合わず間に合わなかった。 席をずっとたってる訳にはいかず、しぶしぶと座る。本心を言うと悔しい。 「柊さん。ここの学校礼儀だけは鬼のように厳しいんですよ。驚いたでしょう?」 陽造さんが、こっちを向いてヘラヘラと軽い笑いで言った。 「そうですね。なかなかに難しいです。」 「次に合わせるための秘訣を考えなくては……」 そこからは、秘訣を考えていた。 よっぽど考えていたのか頭に話が入らないほどだった
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加