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_あ_
「柊奏です。よろしくお願いします」
柊奏、中学2年
親の転勤似合わせて引越してきた。
引っ越す前私は東北の方で暮らしていた。そのため自然とあまり触れ合う機会がなかった。
新たな家があるのは、近畿の方。
しっかりと言うと奈良県だ。
「よろしくお願いします!奏さん」
席に着くと横の席から声がかかった。
声をかけられたのは、中々のイケメンだと思う。恐らく学校でも人気がある方だと思う。メガネを掛けていても溢れる何かの力。
「よろしくお願いします。すいませんが、名前を聞いても……」
イケメンさんは、指摘されたことで気づきハッとした顔をした。そして、手で頬を掻いていた、照れ隠しみたいだ。
「陽造天紫です。見ての通り、隣の席です。」
陽造さんは、片手で自分の席、もう片方で私の席を指していた。
まだ続いて話していたが、私は適当に流していた。
「あの、ちょっと聞いてるんですか?柊さん!?」
話を適当に流したことに気づいて、陽造さんが怒ったようすで言う。そしてまた語りだした。
私の中では、正直どうでもよかった。
「はい。分かってますよ。凄いですね。へぇ。凄い。」
流石に可哀想だと、耳を傾けると難しい話を語っていた。
「聞いていませんね。もういいですよ。」
陽造さんは、溜息をつき何処かに行ってしまった。教室に生徒はいるものの、誰も私に興味を示さない。まるで、空気になった気分だ。
「チャイムが鳴るぞ。席につけ!」
少し厳つそうな声が教卓から聞こえた。
首を動かし見てみると、いかにも体育教師らしい体格をした先生が何かを片手にしていた。
「起立!!礼、着席!」
椅子を引きずる音と共に洗練されたような動き。何をするにしても、生徒達の動きは揃っていた。
私も合わせようと動くが、タイミングが合わず間に合わなかった。
席をずっとたってる訳にはいかず、しぶしぶと座る。本心を言うと悔しい。
「柊さん。ここの学校礼儀だけは鬼のように厳しいんですよ。驚いたでしょう?」
陽造さんが、こっちを向いてヘラヘラと軽い笑いで言った。
「そうですね。なかなかに難しいです。」
「次に合わせるための秘訣を考えなくては……」
そこからは、秘訣を考えていた。
よっぽど考えていたのか頭に話が入らないほどだった
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