序章

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授業の終わりを告げるチャイムがなる 先生の授業は、生徒の方へと振り向きチョークを置いた。私は、この瞬間を待っていた。先生の合図と合わせる。特別なことではないのに緊張してしまう。 「起立。気をつけ。礼。」 先生の合図に合わせ、行動を起こす。今回は、ズレることなくいけた。そういう自信が溢れていた。席に着くと、横から声を潜めて笑う声がした。 「なんですか?」 少しイラついた様子で声をかけた。陽造さんに。でも、彼は何も気にせず言った。 「いや、何も無いですけど……緊張されてましたね。」 語尾に(笑)と入りそうだよ?喧嘩を売っていますか?とでそうになったが、堪えた。 私は、失敗を繰り返さないようにする。それは大事な事と何度も耳にタコができるぐらいにおばあちゃんに言われた。 「……大丈夫ですか?」 陽造さんの声に、大袈裟に反応した。いつの間にかおばあちゃんのことで思い耽っていたようだ。 今思い返すと、おばあちゃんは長生きで副業で畑仕事もしていたし、本業の占い師もしていた。 「大丈夫です。多分。」 思わず多分とつけてしまった。陽造さんは、吹き出してお腹を抱えるように笑った。 「そこまで笑いますか?」 陽造さんは、未だに笑っていて周りの生徒の視線も痛かった。陽造さんは、そこまで笑うタイプでは無いのかもしれない。 「凄い笑ってるね。大丈夫?」 高めの声が私の横から聞こえた。その人は、私の横まで来て、しゃがみこむと陽造さんをじっと見ていた。艶がある長め黒髪に、制服を纏った姿。誰が見ても、綺麗。感想しか出てこないような美人。 「えっと、誰でしょうか?」 思わず固くなってしまった。美人さんは、私を見て立ち上がる。私より少し背が低いくらいの身長。 「私は、美波。筑場 美波。よろしく。柊さん」 「はっ、はい!」 自己紹介も、丁寧。言うなればお嬢様だ。思わず声が上擦ってしまった。 周りの生徒の視線は、無くなり心の中は大歓喜だった。しかし、筑場さんと話すとヒソヒソと話す声に変わった。筑場さんは、マドンナ的存在なのだろう。
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