第2章 #2

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「――お待たせっ!」 本当にすぐに帰って来た彼を見て、思わず笑いがでる。 若干息が上がっているのかハァハァしていた。 「ごめんね、何か言いかけてたよね?」 「あ、今布団干しててちょっと気になったので……」 「俺も干してきた。今日天気いいもんね、あ、取りこむ?」 「いいですか?じゃあ……」 私が歩いて帰りかけると「いや送るから、そのあとパン食べようかと思って」 「えっ?送るって、いいんですか?」 ……そこまでして一緒に食べなくてもと思ってしまう。 「美味しいパンを評論しながら食べるの楽しいよね?1人でブツブツ言っても、ただの怪しい人だし」 少し照れている彼を見ると断りづらくなり、車の方へ一緒に歩いた。 ここから徒歩圏内の自宅は、車だとすぐに着いてしまう。 パンの袋を外側から触ってみると、先程より少しぬるくなっていた。 「冷め始めてる?」 コクンと頷くと「桜ちゃんが許してくれるなら、家に上がらせてもらってもいい?温かいうちに食べたい」 掃除も済ませたし、まだ外も明るい。 パン食べて、コーヒーでも飲んで帰ってもらえばいいかと、呑気な思考も、男慣れしてない悪い所なのかもしれない。 「――じゃあ、食べましょうか」 マイカーはないが、駐車場は契約している。 友達が訪ねてきた時に、前の住まいで凄く困ったからだ。 街に近い場所は『駐車場ナシ』物件が多く、遊びに来てもらっても、コインパーキングに停めてもらうので長居してもらえない。 そのうち、車を買おうと考えてた私は、契約の時についでに決めておいた。 新築だった事もあり、場所もほぼ敷地内という好条件。 屋根も付いているので即決した。 家のドアの前に着き「ちょっと、待ってもらっていいですか?」と最終確認をする為、先に入る。 「うん、急にごめんね」というもののしっかりと待つ渡瀬さんにプッと笑ってしまいそうだ。 ベランダには布団の他に、下着も干してある。 さすがにコレは片づけておきたい。 部屋は片づいているが、テレビ台下のゲームソフトも綺麗にしておいた。 クリアしたゲームだったが、時間があれば再チャレンジしようと出しておいたものだ。
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