第6章 #2

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見た目は何とか普通に戻った筈……。 鏡でチェックをしてから下に降りると、社長達は別々に座っており毛布も片付けられていた。 「桜ちゃんも食べよ?」 パンやサラダにキッシュが並んでいて、さすが師匠は手際がいい。 「はい。いただきます!」 空いてる席は長谷川社長の隣で、そっと座ると静かに食べ始めた。 「美味しいです!」 「有難う」 ニコッとする渡瀬さんに「これじゃあ、女の影なさそう……」と、毒針を吹き矢で飛ばす長谷川社長は本当に一言多い。 渡瀬さんも慣れているのか、ペロっと舌を出しただけだった。 朝食が済むとタクシーを手配し、それぞれ帰る事になったが……。 「ジャンケンポン、あいこで……」 呼んだタクシーは2台で、私との相乗りは誰にするかが決まらないようだ。 方向でいえば栗栖社長だが、何となく今は気まづいし、出来れば他の人が良いいな。 「やったぁ!僕の勝ち」 勝者の渡瀬さんと乗る事になった私は内心ホっとしていた。 1番危険が少なそうな人だし、おまけに優しい王子様だ。 「昨日は桜ちゃんも含め大変だったね。俺大人になって『ざこ寝』するとは思わなかったけど、結果楽しかった」 「――そうですね。長谷川社長には驚きましたが、私も楽しかったです」 「あの2人が同じ職場の人と交流持ったり、僕が呼ばれたりも珍しいから、桜ちゃん余程気に入られてるんだね」 「そうなんでしょうか、振り回されてる気がしてますけど」 帰りの車中では、昨日の出来事や社長達の話題が途切れなかった。 「桜ちゃん、今度パン屋さんのハシゴしよーね」 「はい、その時は又連絡下さい。お腹を空かせておきますので」 渡瀬さんにプッと吹かれたが、ニコッと照れ笑いしてお別れをした。 ポストを確認し、家の中に1歩足を踏み入れると大きな溜息が出た。
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