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「自分でプレゼントを選んだり、渡瀬さんを妨害してみたり……そんな事は今までありませんでした」
車内はピリッとしつつ、けれど何でも話してしまえそうな独特の空気が流れていた。
「私の心配は今は栗栖社長より、長谷川社長です。仕事に対する姿勢が変わっているのもそうですが、私よりあなたが言う事を受け入れてくれますよね?」
「――それは合宿の時の事ですか?」
「ええ、なので長谷川社長は思った以上に、坂田さんの事が気に入ってるのがよく分かります。なので……」と言葉を切った高橋さんに疑問をぶつけてみる。
「――このまま、都合のいい女でいろと仰るんですか?」と思わず声が大きくなった。
そのせいで仕事を辞めようかと1人で何度も悩んだのに、この関係を続けろなんて酷過ぎる。
「やはり、そういう関係になってるんですね。社長の事だから想像はつきますけど」と言われカッと顔が熱くなった。
どうやら言わなくていい事を言ってしまったようだ。
高橋さんが困った顔をしているので、私もどうしたらいいのか分からなくなり、無言で俯いた。
「私は社長達に拾われたも同然なので、とても恩義があります。仕事も出来るし、もちろん憧れもあります。――ワガママで、冷たいと思われがちですがね」
高橋さんが2人に尊敬の念を抱いてるのはよく分かっているが、私にそんな酷なお願いをしてくるのは、よっぽどの事だと想像がつく。
「坂田さんが栗栖社長に傾けば、長谷川社長はとても残念な気持ちになる筈で、またその逆も……だから、今の状態を上手くキープして欲しかったんです」
「はぁ……」としか返事のしようがない。
「長谷川社長はご存じの通り、両親と他界されてます。もしかしたら坂田さんに甘えているのも、母親をイメージをされてるのかもしれません。安心できる存在といいますか」
『母親なら手を出すのはおかしくない?』と困惑する私の表情を察するかのように、高橋さんは苦笑いする。
「でも、女性が大好きな長谷川社長ですからね。男女の関係は当然ついてくると思いますけど……着きましたよ」
カフェの駐車場についたのはいいけど、こんな内容を外で話されも困るので車から降りづらかった。
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