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「大丈夫です、人の少ない席を選びますので」
さすがは高橋さんで、その辺の配慮に抜かりはない。
店内に入り注文を済ませると、ご機嫌取りなのかケーキも追加されていた。
「まさか2人が坂田さんに興味を持たれるとは、どういう気まぐれかと思いました。様子見してたんですが、もっと早く手を打てば良かったですね……」
「手を打つって、どうするつもりなんですか?」と好奇心で聞いてみる。
「例えば、私が彼氏役になる。ほとぼりが冷めるまで芝居をしていれば、社長達の誘いも減ったと思います。私の彼女に手を出すか?――と言えば答えはノーだと思うので」
そんな案があるなら、もっと早く相談をすれば良かった。
他で彼氏を探そうかと思ってたのに、そんな便利なシステムはすぐにでも採用してた筈だ。
でも既に手遅れで、私は栗栖社長の事を好きになってしまっている。
「その作戦はもう無理ですし、逆効果です。今更ノコノコと彼氏ですと言った所で『いつの間にそんな抜け駆けしたの』と責められ人間関係もヒビが入るだけです」と冷静に言われた。
ラテが運ばれて来たので会話は一旦中断し、一緒に置かれたケーキは果物が沢山乗せてあり、キラキラと艶が出ていてとても美味しそうだった。
店員が席を離れると「現状維持は難しいですか?少ししたら、栗栖社長と坂田さんがデザインでパートナ―を組む事が増えてきます。そうすれば、長谷川社長は自然に離れていくと期待してるんですが」
ケーキを食べながら聞いていたが、何だかスッキリとしないので思いきって口を開いた。
「私、実は……栗栖社長の事が気になってるんです」
ここで流れに身を任せてしまうと、取り返しがつかなくなると思い、勇気を出し気持ちを知らせておいた。
「頭痛がしてきました……」
高橋さんは聞きたくなかったというように頭を抱えているが、人の気持ちはそんなに都合よくはいかないものだ。
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