最終章 #2

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次の日、堵亜の提案で買い物に来ていた。 ――目的はセミダブルのベッド。 よほど気になっていたみたいで、『部屋が狭くなる』という要望は考慮してくれ、今あるソファを捨て、その代わりとしても兼用できる物を探すらしい。 「シンプルなデザインを選んで、シーツは白で統一したら?壁につけて配置すると狭く感じないと思う」 「なるほど……」 2階には大型家具が展示してあり、ベッドはもちろん、ソファ、机、クローゼット、食器棚等……様々なお洒落な物が揃えられていた。 イメージが浮かびやすいように、モデルとしてその中の家具を使った部屋も展示されている。 「ほら、ああいうのいいんじゃない?」 「本当シンプルで素敵ですね」 今の部屋はベージュと白が多いので、展示されてるのに近い部屋を見つける事ができた。 違和感なくセミダブルのベッドが配置されていて、マットレスに脚がついているので、背もたれを壁にしてしまえばいい。 「あれでいいとして、あとは寝具とシーツだな」 イメージが既に浮かんでいるのか、私の手を引っ張り1階に降りようとしている。 彼に選んでもらえるのは嬉しいけど、こちらとしては値段を見てないので、予算的な不安もある。 寝具コーナーは子供連れも多く、落ち着いた雰囲気ではないので若干見にくい。 掛け布団を手で触ると「これは軽くていいなぁ」と、そんな事はお構いなしで、自分が使うように感触を確認する堵亜。 『まぁ、一緒に寝る事もあるから気持ちは分かるけど』と、顔を綻ばせながら便乗して触れてみる。 「この毛布もフワフワです……」 同系色の毛布に手を伸ばしていると彼も近くで触っていた。 普通に社長と買い物してるなんて……。 付き合って数日で、生活感のある買い物に参加したのも今までない経験だが、頼りになる相談相手なので、迷わず欲しい物が限定されていく。 「よし、大体こんなもんか」 商品の番号札をいつの間にか持っていた堵亜は、レジに直進していた。
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