第1章

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そんな私を可愛がってくれる先輩に囲まれ、幸せな気分になる。 好きでやってる仕事だから全然苦にならないし、もっと吸収したい欲望の方が強い。 ――そんなある日 私達の部署に見慣れない男性が入って来た。 背もスラッとしていて、オシャレにスーツを着こなしている。 部長がその人の顔にハッとすると、2人で部屋を出て行った。 なんとなく部屋の中がピリッとした空気になったので、先輩に「さっきの方、どなたなんですか?」とこっそり聞いてみた。 社長のマネージメントや運転をしている人のようだ。 秘書として美人がいる時は運転メインだけど……実質はあの人が管理しているらしい。 ――要は美人の秘書は飾りとして使われてるみたいだ。 まぁ…私達が気にする事ではないので、作業に戻る。 新作の商品が上がっているので、店長会の時に説明をしたり、手にとって確かめてもらったりする為、ラックに並べるのに追われていた。 エレベーターで倉庫に移動すると、パッキンを開け商品出しを繰り返す。 いつも新作を検品するのはワクワクする……。 本社勤務になってからは、作る工程を見ているので、更に愛着が湧いてしまう。 商品を出し終えると、店頭のスタッフ分の素材説明を書いた冊子を作り始めた。 入荷前にきちんと商品の事を知ってもらって、お客様にしっかりと良さを紹介して欲しいからだ。 店頭のスタッフは、入荷された時に初めて実際に商品を見る事になる。 なので新人さんだとアピールポイントを見つけるのが難しい。 見た目以外の情報をお客様は聞きたいので、それなりに知識が必要だ。 コ―デ提案はその人のセンスもあるので、情報を吸収してもらい、お勧めする時の引き出しの一つになれば…と思っている。
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