第1章

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ひと段落した所で、休憩をすることにした。 今日はお昼もそこそこで作業ばかりしていたので、お腹も少し空いている。 食堂でスイーツでも食べようかな……と通路を歩いていると、部長に呼び止められた。 「お疲れ様。お昼の休憩少なかったから、ゆっくり休んで欲しいんけど…ちょっと話があって」と何だか言いにくそうだ。 「大丈夫ですよ!」 「食堂行くんでしょ?スイーツおごるね」 「やった!有難うございます」と並んでエレベーターに乗った。 食堂の隅の方の席をキープする部長の表情は暗い。 逆に私はパフェをおごって貰い、少しテンションが上がっていた。 「桜ちゃん、ここに来てからも毎日一生懸命頑張って、成果も残してくれて有難いと思ってる」 真剣な顔をして褒めてもらうと、少し照れくさくなる。 部長はキャリアウーマンを絵に描いたような仕事が出来る人だし、尊敬している。 他の上司も素敵な女性は多いが、特に部長を目標に働いていた。 「本社に来てどう?現場経験のある桜ちゃんが来た事で、情報も入ってくるしいい刺激になってる」 「私も工程に携わる事が出来て、更にここの服が好きになってます。先輩もみんな優しくて素敵で、楽しく仕事してます」 「有難う。私もそんな子に、これからもここで頑張って欲しいと思ってたんだけどね」 部長の顔が少し歪み暗くなった気がしてドキッとする。
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