第1章

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『えっ、エルルーム?は初耳なんですけど』 と余計に不安に思ってしまう。 部屋に名前がついてるのは、先輩方からも聞いていない。 一番奥の社長室に高橋さんの後から入ると、足の踏み場もないくらい床に書類や紙が散乱していた。 『何コレ!?』と驚いたが、高橋さんは動揺する事もなく片付け始めている。 私もとりあえす逆の方向から集め出した。 何となく同じグループで分けて、大切そうな物は別に分かるように置いていく。 ――気づけば15分くらいは作業していた。 「有難う、助かりました」と言う高橋さんの背後から男性がツカツカと入って来る。 「おはよう、これから宜しく」と言われたが、私が挨拶するタイミングは貰えない。 この社長は恐らくデザイン担当だな…という予想がつく。 「社長にコーヒー淹れて下さい。そこにマシンがあります」 急に振られてギクッとしたが、緊張しながら準備をし「どうぞ」と前に置いた。
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