第1章

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「顔合わせ済んだし、そろそろ出かけたら?」 ――今ので挨拶…終わり? 私って相手にされてないんだろうか……。 自社の服を愛してやまないのに、この人達の感じの悪さに幻滅してしまう。 『なるほどね……そういう事ですか』 どうせ私は、モデル並みのスタイルではないし、今までと違うから会話すら弾まないのかもしれない。 なら、こっちだって元の部署に戻されるまで仕事として開き直ってやる! 話の腰も折られ、人として見られていない気分になった私は、グッと堪え普通の顔をして高橋さんの後に続いて部屋を出た。 地下の駐車場には、高級そうな車が何台か停まっている。 普段は乗る機会がないような車の、後部座席のドアを高橋さんが開け、社長が乗り込んだ。 『もう一人の社長は、現場には行かないんだ』 私はとりあえず助手席に座り車が発進する。 「そんなあからさまに避けなくてもいーだろ?」 「邪魔になっては申し訳ないと思いましたので」 ――我ながらトゲのある言葉だ。 高橋さんがドキドキしているのが伝わるくらい。 恐らく普段の女性達は、社長の横に座っていたのだろう……。 でも開き直った私には関係なく『追い出すならお好きにどーぞ』のモードに変わっていた。
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