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「顔合わせ済んだし、そろそろ出かけたら?」
――今ので挨拶…終わり?
私って相手にされてないんだろうか……。
自社の服を愛してやまないのに、この人達の感じの悪さに幻滅してしまう。
『なるほどね……そういう事ですか』
どうせ私は、モデル並みのスタイルではないし、今までと違うから会話すら弾まないのかもしれない。
なら、こっちだって元の部署に戻されるまで仕事として開き直ってやる!
話の腰も折られ、人として見られていない気分になった私は、グッと堪え普通の顔をして高橋さんの後に続いて部屋を出た。
地下の駐車場には、高級そうな車が何台か停まっている。
普段は乗る機会がないような車の、後部座席のドアを高橋さんが開け、社長が乗り込んだ。
『もう一人の社長は、現場には行かないんだ』
私はとりあえず助手席に座り車が発進する。
「そんなあからさまに避けなくてもいーだろ?」
「邪魔になっては申し訳ないと思いましたので」
――我ながらトゲのある言葉だ。
高橋さんがドキドキしているのが伝わるくらい。
恐らく普段の女性達は、社長の横に座っていたのだろう……。
でも開き直った私には関係なく『追い出すならお好きにどーぞ』のモードに変わっていた。
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