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第4章 #2
挨拶を済ませると、申し訳なさそうに「先日はごめんね、あれからちょっと約束があって先に帰ってしまって」
「いえ、大丈夫ですよ」
「迎えに来るっていうから、断れなくて」
彼女とデートの約束かな?
と微笑ましく聞いていると「あ、そんなんじゃないよ?ちょっとしつこい子がいて、仕方なくあの日は付き合っただけ」
きっちりした高橋さんとは思えない言葉だったので、少しパソコン操作の手が止まる。
プライベートは意外と冷たいのか、それともモテすぎてそうなっただけ?
意見をいう立場ではないし、それ以上話に触れなかったが、見た目とのギャップに戸惑っていた。
高橋さんが来たという事は、社長達もすぐに来るので会話は打ち切られる。
予想通り長谷川社長が顔を出す。
「おはよう」
今日もスーツの着こなしがキマッている。
目つきもいつも通りで、セクハラトークをしていた人にはとても思えない。
立ち上がってコーヒーの準備をし、社長の机の前に置くと、そのタイミングで栗栖社長も入って来た。
同じようにコーヒーを出して挨拶を済ませると、高橋さんと打ち合わせを始め、今日は外出のようだ。
コーヒーを飲み終わると「じゃあ、行ってくるから後宜しく」と早速2人で出て行った。
残された私と長谷川社長もパソコンに向かって仕事を開始する。
要領を掴んできたので、作業は以前より早くなっていた。
必要な事のみを更にピックアップしていく。
数時間経過した所で「そういえば、前回作ってもらったデータを元に、新しい出店店舗の下見を始めたんだけど」
社長の声に私は手を止めて話を聞く事にした。
「今回は、桜ちゃんの部署の部長を中心に動いてもらう事に決まったよ」
『凄い!部長大きなプロジェクトの責任者に抜擢されたんだ』
自分の事のように嬉しくなってくる。
きっと部長なら成功させるに決まっている。
「前に言ったけど、仕事を下ろすと育っていくからね。みんなにもスキルを上げてもらおうと思って」 と話す社長も笑顔だ。
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