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主催の会社は、素材メーカーであり、医療器機に使われるシリコンや化学繊維の開発が進んでいるようで、DOSHIMAとは昔からの付き合いがあるらしかった。
主催者である川本社長は、私たちと挨拶を済ませると、彼は自分の息子の自慢をしたいために、社長にばかり話しかけるので、ご令嬢のフリをしてニコニコすることに疲れていた私は、助かったと肩の力を抜いていた。
しかしうちの社長も、彼に合わせて、マイとメイが可愛い、という話をし始めたので、私は気分が悪くなり、専務の腕の裾を引っ張った。
「どうしました?」
「なんだか退屈になってきました」
「えっ」
「本当は専務とお話していた方が楽しいです」
私は、社長がしている双子の話を聞く必要がないことと、私は常に専務のことを拠り所にしていること、それが専務に伝わればいいと思ったのだ。
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