同居

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ところで私が料理を振る舞いたいのは、料理が得意だからというわけではない。 妻として、夫に栄養満点の料理を提供する、その行為に憧れているからだ。 それがあるから、食器を選ぶのも、変わった食材や、使ったことのない形のパスタを使うことにも、楽しみがあった。 そして慶一さんが喜んでくれること、そこまででワンセットなのだ。 「慶一さん、あと私、働きたいと思うんですが」 「え?」 朝食の件で手応えをつかんだ私は、調子に乗って、二つ目のお願いもここで放出してしまうことに決めた。 すると、慶一さんはこのリビングのソファを、応接室のそれであるかのように浅く腰掛けた。 手のひらで向かいのソファを示されて、私も大人しくそこに座った。
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