同居

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「働きたいというのは、なぜですか? 欲しいものがあるのですか?」 「いえ、欲しいものはありません」 私は慶一さんの質問に対して、適切な答えが思いつかなかった。 私の働きたい理由はおそらく、自分の不安を払拭するためなのだろうが、おそらくというのはつまり、自分でもよく分かっていないのだ。 ただ、このまま全てを提供してもらったままでは、それは飼われているようなものであり、そこに愛があればそれでも良いのかもしれないが、残念ながらその実感は、今はなかった。 だからまずは飼われていることをやめた方がいいと思ったのだ。 そこに特に理由はなく、直感だった。
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