同居

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「一日があまりにも長く感じるんです。ひとりでここに籠っていると、考えなくてもいいようなことまで考えてしまって。私には、これといって退屈を凌げるような趣味もないですし、仕事をするのも嫌いではないですから」 「そうですか。また病院で勤めたい、ということですか?」 「いえ、看護師はやりません。向いてなかったので、私。何か他の職を探そうと思っています」 「見当がついているのですか?」 「いえ、それもないです」 思いつきの域を出なかったが、看護師としてしか就職活動をしたことがない私は、再就職は簡単にできるものだと思っていた。 それに、すぐに見つからなくてもかまわなかった。 就職活動で一日潰すのも、実際に働いて一日潰すのも、私にとっては同じことで、ただ自分の生活のために行動を起こしている事実がとりあえずあれば良かったのだ。 働くことについては、とにかくそれくらいに軽く考えていた。
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