立会

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私には、社長も、奥様も、双子のこともどうでも良くて、今日、こうして気を張って頑張っているのは、すべて専務のためなのだ、と。 別に、本当に今、専務とお話がしたいから何とかしろ、という意味ではなかったのだが、専務はコクリと頷いて、私の手を握った。 専務は、うちの社長と川本社長が話しているところに、「すみません」と言って割り込むと、私が人混みに酔ったから休ませたいという嘘の説明をした。 川本社長がこんなときのために、ホテルに何部屋か用意していたというので、それを一室お借りすることになり、私たちはフロントでキーをもらい、その部屋へ向かった。 専務は、ずっと私の手をひいたままでいるので、まるで王子様のようだと思わずにはいられなかった。
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