同居

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実際、看護師として働いていた経験に比べれば、楽そうだと思える職はいくつも思い当たっていたので、働くことくらい億劫でも何でもなかった。 しかし慶一さんは私の軽い思いつきに対して、それを絶対に失敗なく進めるにはどうしたらいいのか、私の何倍も熱量を使って考えてくれている様子だ。 「正直、僕は、菜々子さんが働くことについて上手く助言をすることはできません。それどころか、菜々子さんが働くこと自体に、父が良い顔をしないのではと心配しているところです」 「社長さんが反対するんですか? なぜ?」 「あなたに苦労をかけてしまうことになりますから。父は菜々子さんを気に入っているので、僕が不甲斐ないことをすれば、良い顔をしません」 「そんなこと、社長さんも慶一さんも関係ないじゃないですか。私が働きたいだけなんですから。私の希望なんですから、社長さんだって納得するんじゃないですか?」 「……僕といるのは退屈だから、働きたくなったのではないですか? 例えば、それでしたら僕に責任があります」
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