2151人が本棚に入れています
本棚に追加
/262ページ
「いってらっしゃい、気を付けて。慶一さん」
「いってきます。菜々子さん、夕食はどうされますか? 僕は夜遅くなるので、北山さんに頼んでおきましょうか?」
「い、いえ、いいです。近くにスーパーがあったので、それで」
「そうですか。では、いってきます。何かあれば携帯に連絡を下さい」
「はい」
この結婚、いや正しくは結婚に先立った同居を承諾したときには、心が躍ってしかたがなかった。
相手のことなどたいして知らなくとも、お金持ちで格好いい人と暮らして、そのくせ自分は引き続き職を探すこともしなくていい、そんな美味しい条件は他になかった。
しかもなぜかこの人は私の希望ばかり優先してくれるし。
最初のコメントを投稿しよう!