同居

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「いってらっしゃい、気を付けて。慶一さん」 「いってきます。菜々子さん、夕食はどうされますか? 僕は夜遅くなるので、北山さんに頼んでおきましょうか?」 「い、いえ、いいです。近くにスーパーがあったので、それで」 「そうですか。では、いってきます。何かあれば携帯に連絡を下さい」 「はい」 この結婚、いや正しくは結婚に先立った同居を承諾したときには、心が躍ってしかたがなかった。 相手のことなどたいして知らなくとも、お金持ちで格好いい人と暮らして、そのくせ自分は引き続き職を探すこともしなくていい、そんな美味しい条件は他になかった。 しかもなぜかこの人は私の希望ばかり優先してくれるし。
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