3.泡沫

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湯気で曇る鏡、サウナのようになった浴室内で洗う、流す、洗う、流す・・・日常の浴室で、私は生まれて初めて目には見えない汚れを落としていた。 肌に絡んだ男の視線。耳にへばりついたシャッター音。 これが女を「売る」ということか。「自分の身体をすり減らす」なんて嘘だ。 身体は減らないけれど、多分メンタルと女としての命を削られる。 命を削って働くなんて少し格好いいように聞こえるけど、ティッシュのように消耗品扱いされているだけだ。 虚しさしかない。 いくらシャワーを浴びても、その空虚は決して埋まらない。 とっくに処女ではなくても、誰かにビッチと罵られても、それが自身で望んで身体を開いた結果なら決して汚れてなんていなかったのだ。 それに気付いた時にはっきりと悟る。 「ああ、私、穢れちゃったんだ・・・」
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